派遣と請負の区分に関するQ&A

2004年3月から改正労働者派遣法が施行され、製造現場への人材派遣が可能になっています。この規制緩和を受け、厚生労働省が製造業の業務の「請負労働」の監視を強化し、請負を装う違法な派遣(いわゆる偽装請負)などを是正していく方針が示され、都道府県労働局による行政指導が行われてきたのは、 衆知のとおりです。 ここでは、行政指導の基準となる『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(以下「派遣と請負の区分」という)』(昭和61年労働省告示第37号)を物差しとして、実務上生じる疑問点を確認していきます。
Q1.
請負と派遣の違いは、どのように判断するのですか?
A1.
最も大きな違いは、労働者の指揮命令が雇用主にあるか、そうでなく雇用主以外(=派遣の場合は、派遣先企業)にあるかという指揮命令権の所在に有ります。労働者派遣は、労働者派遣法に基づく許認可によって「雇用」と「使用」の分離が認められている例外的な労働形態ですので、雇用主たる派遣会社から分離して使用者たる派遣先企業に派遣労働者に対する指揮命令権が認められています。従って、指揮命令者が所属している法人が指揮命令を受ける労働者と同一か否かを見れば、それが、派遣でないか、派遣かを判断する基準となります。
但し、適法な請負が成立しているかどうかの判断においては、「派遣と請負の区分」に照らし、第一に「自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること」、第二に「請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること」が必要とされていますので、請負が適法に成立しているかどうかの判断は、総合的且つ厳格な対応が求められています。
Q2.
万が一、適法な請負が成立していない場合、罰則等はありますか?
A2.
適法な請負が成立していない場合は、労働者派遣が為されているとみなされ、労働者派遣法に対する違法行為による罰則、行政処分及び勧告・企業名の公表処置が実施されることがあります。派遣先企業への行政処分としては、法4条第3項を含む次表の5つの規定違反に対し、勧告と企業名の公表措置の対象とされています。

勧告、企業名の公表措置の対象となる役務の提供を受ける者

法第4条第3項 その指揮命令下に派遣労働者を適用除外業務に従事させている者
法第24条の2 派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主から、労働者派遣の役務の提供を受けている者
法第40条の2
第1項
派遣先の事業所その他の派遣就労の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣受入期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受入れている者
法第40条の4 派遣停止の通知を受けながら派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の前日までに雇用契約のお申し込みをせず、派遣受入期間に抵触することとなる最初の日以降継続して派遣労働者を使用した者
法第40条の5 (業務取扱要領)第9の4の(3)のイの[1]から[5]までに掲げる業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の提供を受けている派遣先が雇用契約のお申し込み義務を果たさなかった場合

また、適法な請負でなく、職業安定法第44条による「労働者供給(=供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣法に規定する労働者派遣法に該当するものを含まない。)」に該当する場合は、労働者の供給を受けた者も罰則の適用を受け、1年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられます。

Q1.
適法な請負(委託)契約の為に留意すべきことは、どのようなことでしょうか?
A1.
「派遣と請負の区分」では、適法な請負事業の基準が定められ、各項目ごとに請負事業者自らが行わない場合に、特段の合理的な理由が認められるかどうかを総合的に勘案し、判断することとされています。
(1).労務管理上の独立性:「自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること」
1.業務管理上の独立性
  • 1)労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
  • 2)労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
2.労働時間管理上の独立性
  • 1)労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く)を自ら行うこと。
  • 2) 労働者の労働時間を延長する場合または労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
3.秩序の維持、確保上の独立性
  • 1)労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと。
  • 2)労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。
(2).事業経営上の独立性:「自己の業務として相手方から独立して処理するものであること」
1.経理上の独立性 業務の処理に要する資金を自らの責任により調達、支払すること。
2.法律上の独立性 民法・商法その他の法律に規定された事業主の責任を負うこと。
3.業務上の独立性
  • 1)機械、設備、機材、材料、資材を自ら調達すること。
  • 2)自ら行う企画、保有する技術、経験に基づき業務処理すること。
尚、(1)及び(2)のいずれにも該当する事業主であっても、それが法の規定を違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、その事業の真の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができないとされています。
従って、適法な請負(または委託)契約が成立しているか否かを判断するためには、「派遣と請負の区分」に照らし、具体的に判断していくことが必要です。 ヒューマンリソシアでは、専門の営業担当がお客様の事業内容、業務内容を個別にお伺いし、ニーズを把握させて頂いた上、適法な業務形態をご提案させて頂いております。 以上