ITコンサルタントが語る必要スキル

第26回 合格率は無視、合致率を重視

どんな資格試験でも合格と不合格があれば合格率という数字ができます。しかし、資格への挑戦の段階で、この数字にこだわることにはほとんど意味がありません。代わりに、重視すべきなのは、資格とあなたの目標・目的との合致率です。

ということで、今回は、合格率という数字にこだわることの危険性と、あなたと資格の合致率をどう捉えるかについて考えます。まず、合格率を無視することをお勧めする理由を述べます。日々の仕事に追われながら資格取得を目指すことは、怠け心との戦いになりがちです。精神的に弱くなっているときや、仕事がうまく進まないときなど、資格への挑戦心が薄れやすい時期が何度かあるでしょう。そんなときに絶対に見てはいけない数字が合格率です。こう書くと「自分が挑戦する対象を熟知することの何が悪い」と叱られてしまうかもしれません。もちろん、挑戦する試験の詳細を調べ上げておくことは合格の秘訣の一つです。しかし、唯一、合格率だけは危険な数字だと思います。なぜなら、合格率は得てして「挑戦中止」の理由にされてしまうからです。

例えば、その資格の合格率が低ければ、「こんなに大変な思いをしてまで、合格率の低い試験に挑戦するのはムダだ」と言い出す方がいます。この言葉には一理があるように見えますが、そうではありません。というのは、こういう方は、もしも合格率が高いと知ると「こんな誰でも受かるような試験に挑戦しても無意味だ」と言い出すからです。つまり、どちらにしろ「やめたい」という後ろ向きの理由を探しているに過ぎません。もしも、あなたが、心の迷いからどうしても合格率にこだわりたくなったら、事前に「○○%以下なら挑戦中止、○○%以上でも挑戦中止」と紙に書いてから調べると良いでしょう。この2つの数字の間があなたの戦ゾーンになります。例えば「1%未満なら中止、95%以上でも中止」としたなら「1%から95%」が挑戦ゾーンです。そして、挑戦ゾーンがあまりにも狭ければ「何か違う」と思うはずです。紙に欠くと数字を冷静に見ることができるでしょう。ただし、合格率を調べてからこの分析をするのは「後出しジャンケン」のようなもので逆効果です。数字を使って自分をだましているに過ぎません。

こういう経験を繰り返せば、合格率にこだわることの無意味さに気がつくはずです。IT系の資格試験ではほとんどの場合、合格人数の制限はありません。合格ラインを超えれば合格し、そうでなければ不合格というシンプルなルールがあるだけです。よって、あなたと同じ試験に他に何人が挑戦していたか、その何人が受かったかは、あなたにはほとんど関係がないのです。そして、合格率ではなく、こだわるべきなのは、資格とあなたの目標・目的との合致率です。前回以前のコラムで何度か述べていますとおり、IT資格の合格は目安や手段ではあっても目標や目的ではありません。その資格があなたの目標や目的にどの程度マッチしているのかをじっくり考えるべきです。「受かりやすいから受ける」ではなく「受かるべきだから受ける」試験であれば、おのずからやる気も違ってくると思います。

しかし、注意しておきたいことは、100%を求めないということです。その試験の出題範囲とあなたの目標や目的を並べてみて、50%を超えたら挑戦する価値があると考えてはいかがでしょうか。合格率100%の試験はないように、合致率100%の試験もないのです。

(第26回 了)

ITコンサルタント 平野正喜

ITコンサルタント 平野正喜(ランドッグ・オーグ)
http://www.rundog.org/

ヒューマンアカデミー非常勤講師
システム開発会社のエンジニアリーダー、マネージャー、採用担当責任者を経て独立し、個人事務所を 設立。ヒューマンアカデミー各校に加え、大学、企業教育などにて教壇に立つかたわら、講演、 ビデオ教材の作成・出演、書籍や雑誌での執筆でも知られる。 著書に、「ケータイビジネスを革新する技術 BREW」や「Eclipse辞典」がある。趣味は音楽と芝居で、 見聞きするだけではなくステージに立つこともある。

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